｢27時間テレビ｣伝説のエロ企画｢ハケ水車｣の裏事情!

1993年10月から僅か半年で打ち切りとなってしまった深夜バラエティー､フジテレビ系『殿様のフェロモン』｡
中山秀征･今田耕司･東野幸治といった現在各局のバラエティー番組を仕切るメンツやめちゃイケメンバーがレギュラーで出演｡
今となっては深夜番組に似つかない異例の超豪華出演者と､テレビ史に残るエロ企画で記録より記憶に残る番組として知られている｡

看板企画となった｢快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズ｣は､高速で回転する水車に4本のハケを装着｡水車は女性の股の下に置かれ､水車が回転すると女性の股間にハケが触れ悶えさせる｡数名の女性のうち本当にハケが当たっているのは誰かを答えるクイズは､あまりに卑猥ながら高視聴率獲得の原動力となったのもまた事実だ｡

番組終了から7年余りが経過した2001年の『27時間テレビ』深夜コーナー｢裏!めちゃイケ｣で｢ハケ水車クイズ｣が復活｡
水車は進化を遂げ､発水機能･ヴァイブレーション機能を兼ね備えた"スーパーDXハケ水車ウェッティ･マナーモード21"に｡

司会進行は実質上､矢部浩之からバトンタッチを受けたイジリー岡田がエンジン全開で担当｡
スタジオに登場すると第一声が｢よろしクリクリクリトリス｣と現在なら完全に放送禁止ワードを叫ぶ気合の入りようだった｡
クイズの出題者側となる女性(AV女優)も｢得意技はフェラチオ｣｢一番感じるのは右側の乳首｣と暴走｡
芸人達も我を忘れて大興奮｡笑福亭鶴光にいたっては水車から溢れる液体を顔面で受け止める行為まで見せた｡

企画が最高潮に盛り上がった大きな要因は､イジリー岡田の振り切ったエロ芸に他ならない｡
AV女優からエロを引き出すプロフェッショナルな話術や仕草､高速ベロも含めて右に出る者はいないだろう｡

彼は当時､テレビ東京系『ギルガメッシュNIGHT』放送終了から3年が経過｡
以前TBS系『あいまいナ!』で明かしたところによると､エロイメージがあまりに浸透してしまい､他の仕事が来なくなったのだという｡
所属事務所･ホリプロとも芸能活動について真剣に話し合うぐらい､事態は深刻だった｡
芸能界に入りたての頃描いていた"ほのぼのとした笑い"をとるにもイメージが邪魔してどうしようもない｡

悩んでいた彼に救いの手を差し伸べたのが､現在『めちゃイケ』企画統括を担当する片岡飛鳥氏｡
『ギルガメッシュNIGHT』の裏番組となる『殿様のフェロモン』を仕掛けた人物こそ､まさに天才演出家と呼ばれた片岡飛鳥だった｡

放送当時､裏番組に出演するイジリー岡田を起用することは業界の掟でNG｡
21世紀に突入し両番組ともレギュラー放送を終えた2001年だからこそ､イジリー岡田に｢これがやりたかったんだ!｣と熱烈オファーを出したのである｡

エロ魂を忘れかけていたイジリー岡田も再び火が灯り､本番当日いざフジテレビへ｡
楽屋に入り台本を手に取ると､第一声として書かれていたのが｢よろしクリクリクリトリス｣｡
これにはイジリー岡田も目を疑ったといい､すぐにホリプロのお偉いさんと話し合い｡
お偉いさんは｢片岡飛鳥さんがこの一行を書くってことは､何か意味があるんだろう｡｣と前向きに捉え､事務所としてOKを出した｡

打ち合わせが始まり片岡飛鳥がやってきたので､台本についてストレートに真意を訊ねようとしたが､食い気味に｢言って下さい｣と片岡飛鳥は最後まで質問を聞かなかった｡
そして､彼は台本に｢よろしクリクリクリトリス｣と書いた本当の意味を語り始めたそう｡

｢どうしてイジリーさんがこれを言わなきゃいけないか｡コーナーは深夜2時から始まって､ナイナイの矢部君が司会をしています｡クイズを3･4問やって､ちょっとエロいクイズ､もうちょっとエロいクイズを進んでいきます｡すると矢部君が『これ以上(エロいクイズの)司会は無理ですわ｡この司会の任せる人を今日は呼んでいます』と言ってイジリーさんが出ていきます｡ですから､矢部が一時間イジリーさんのために前フリをしていると思ってください｡矢部の一時間を無駄にできますか!? 矢部が努力した果ての"よろしクリクリクリトリス"なんです!｣

重みがある言葉を受けて心を決めたイジリー岡田は､台本通り本番で｢よろしクリクリクリトリス｣と口にした｡
スタジオの反応は､上記に著したとおり｡
｢ハケ水車クイズ｣を機に､彼はもう一度エロ芸の道を歩み極めよう､と方向性が再度固まったのである｡

2011年7月23日～24日に放送される『27時間テレビ2011』は10年ぶりハケ水車の復活が濃厚となっている｡
アナログ放送時代が残した最期の遺物として､イジリー岡田にも芸人人生の集大成として､放送コードギリギリアウトの笑いとエロを届けてくれることに期待したい｡

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