金色の翼
[第61話]
玻留(倉貫牛O)と私(国分佐智子)が愛し合った過去、玻留が犯した犯罪のすべてを告白した修子(国分佐智子)は、「あなたにだけは知られたくなかった」槙(高杉瑞穂)に話す。09/24放送
修子がホテルに戻ると、迫田事件でのアリバイの偽装工作を知った奥寺(黒田アーサー)が「早く結婚するよう」修子に迫る。玻留は激怒し「自分が奥寺を殺す」と修子に話すが、修子は「。二度と罪を犯さないで欲しい」と玻留頼む。「消すなら自分を」と告げると、玻留は「幸せになって欲しい姉さんを殺すなんて、自分に死ねと言っているようなものだ」と部屋を出た。
槙のもとをセツが訪れ「奥寺の会社株の処置は任せる」と槙に託す。「槙には幸せになって欲しい」とセツは話す。
翌朝。「お母さん」と理生(肘井美佳)はセツ(剣幸)を呼ぶ。「娘として帰りを待っている」と話すリオ。ライバル心を燃やしていた静江(沖 直未)も、セツの帰りを待っていると涙ぐんだ。うなずくセツは警察に連行されて行った。
滑走路には修子がいた。絹子が2人だけにしてあげると、修子は「なぜ、逮捕される前に逃亡しなかったのか」とセツに問いかける。すると、「逃げるほど罪の鎖は重くなる。心は今までで一番自由だ」とセツ微笑むのだった。旅立つセツを見送る修子のそばに、槙も来ていた。
修子と槙はアトリエに立ち寄る。セツはまるで自分の心を分かっているようだ、と修子は槙に話す。島へ来たのは、「玻留という重い鎖から逃げたかったからだ」と。「槙に近づいたのも、歪んだ姉弟の鎖を断ち切って欲しいとどこかで望んでいたのかも知れない」と…。「望み通りに断ち切ってやる。玻留は自分が警察へ連れて行く」と、槙は言う。修子は涙ぐむが槙の申し出を断った。「いつか後悔するから関わらないで欲しい」と、修子は飛び出して行く。
修子が島を出る準備を始めていると、玻留がやって来て「奥寺を殺さないのか」と訴える。玻留は「奥寺と槙のどちらかを殺して、片方に罪を被せよう…」と持ちかける。そんな波留に「もう誰も傷つけないで」と修子は諭す。俺が邪魔なら警察に突き出せと、波留は周子に迫る。姉さんが幸せになるなら、俺は構わない。「覚悟を見せてやる」そう叫ぶと、波留はベランダに飛び出して手すりに立った。「今すぐ姿を消してやる!」涙をこぼす玻留。波留が宙に浮いた瞬間、修子が玻留の手を捕まえ抱き締めた。槙を殺そうと答える修子……。そして計画を練り上げるまではおとなしくしているように波留を諭した。
翌日。奥寺は、修子が高値で島を買ったことを知り激怒する。そして、「警察に突き出されたくなかったら婚姻届にサインしろと迫る」と迫るが、「やれるならやりなさい」と態度を一変させた修子の態度に慌てる。そこへ、迎えの飛行機が来たことを案内しに槙がやってくる。
その頃、玻留は寝室で銃の感触を確かめていたところに玖未(上野 なつひ)が訪ねて来る。「子供が生まれても何もできない」とはっきりと伝える波留に、玖未は「子どもを愛してくれればいい」と言い、笑みを浮かべた玖未は、突然、腹部を押さえて倒れてしまった…。
その頃、静江が奥寺を訪ねていた。奥寺の会社の株を大量に入手した、と。そして、社長である奥寺の首を取ると宣告した。セツが槙に譲った奥寺の会社の株を、槙から譲り受けていたのだ。何とかしようとする奥寺に、玖未の容態の急変を伝える電話が入る。ホテルに駆けつけた奥寺の目の前には、危険な状態の玖未がいた。
懸命の治療が続けられる夜、静江がやって来て、奥寺が社長職を解任されたことを告げる。掴みかかる奥寺だったが、理生が走り寄り、玖未もお腹の子も無事だと伝える。
玖未が目を覚ますと、そこには父・奥寺がいた。奥寺は「社長の座より娘の命が大切だと気づいたよ」と玖未に微笑む。玖未は父の手を握った。その様子を見ていた修子は静かに扉を閉める…。
翌日、「玖未の出産を認める」奥寺は修子に話す。ただし、玻留だけは勘弁してもらいたい、と。そして、犯行を忘れるから目の前から姿を欲しいと修子に告げる。うなずく修子に「自分なりに愛していた」と言い、奥寺は去っていく…。
夜になり、修子のもとに玻留がやって来た。「例の計画を話し合おう」と修子は波留に囁く…。
翌日。突然、波留は理生に「迫田を突き落とした犯人が自分だ」と話す。混乱する理生に、波留は犯行を説明した。「自首をする前にやることがある。自分が自首できないときは警察に真実を話して欲しい」と、波留は理生に頼むのだった。
その頃、修子は東京に戻っていた。槙も、兄の事件のことで警察に呼ばれて東京に来ていた。槙が東京の修子の家に立ち寄ると刑事が張り込んでいた。修子が出て来ると刑事が尾行を始める・・・。修子は協会を訪れたのだ。協会で修子とすれ違った老婦人がバッグを落とした。修子は、拾い上げて老婦人にバッグを渡す…その一瞬、バッグの下で、修子は老婦人から小包を受け取っていた。ごく普通の様子で修子はお祈りを始めると、急に槙が現れて驚く。槙は、修子をつけていた刑事の後を追って来たのだ。
槙は「死ぬ気ではないのか?」と修子に尋ねる。そしてもう一度、玻留の自首を勧めた。槙は「自分も共犯だ」と訴える…。
その夜、槙が島に戻るとジープが盗まれ、玻留が姿を消していた。
東京の家では、修子が老婦人から受け取った小包を取り出し眺めていた。そこへ波留から電話が。「姉さんが嫌だと言っても僕は必ずやる」と。「計画通り二人でやりましょう」と修子は訴えるが、すでに電話は切れていた。
翌朝、玻留の失踪を知った絹子が修子の家を尋ねてきた。修子は、かつて奥寺から受け取った小瓶の液体をコーヒーに注いで絹子に飲ませる。やがて絹子は、深い眠りに落ちていった…。
槙からの電話に修子は「波留から連絡があったから、会って自首をすすめたいから、助けてほしい」と槙に協力を求め、槙と会う約束をする。修子は受話器を切ると、今度は110番に電話をする「玻留が東京に現れる・・・」と。隣室には、何も知らない絹子が眠り込んでいた。
病院へ向かうことになった玖未と理生の飛行機に槙も同乗した。そして、修子と約束した教会へ向かう槙。外には「玻留が来る」をいう密告電話を信じた刑事たちが張り込んでいた。
教会で修子を待つが、いつまで経っても修子は現れない。不安を感じた槙は修子の家に走るが部屋の中には絹子が眠り込んでいるだけだった。それを見た槙は修子が島から自分を遠ざけたことを悟った槙は、奥寺の元を訪ね、島へ渡る飛行機を出してくれるよう土下座をして頼み込んだ…。
その頃、修子は島に戻り、玻留との計画を思い返していた。波留は島のどこかに隠れる。修子が奥寺から貰った小瓶で槙を眠らせる。眠った槙を玻留が撃つ――。助からないように必ず3発は槙の体に撃ち込むようにと、修子は玻留に銃弾を3発握らせたのだった。「生まれ変われるなら、姉弟でなく生まれてこよう」と言いながら…。
修子が、老婦人から受け取った小包を開くと、菓子箱には小型の銃が…。頭をよぎったのは槙の顔。修子は槙の名前を呼び「さよなら」を口にした…。
夜、槙の部屋からは槙と楽しそうに会話をする修子の声が聞こえる。夜が更けると、修子が部屋を出ると隠れていた玻留が姿を現し、銃に4発の銃弾を込めた。そして部屋に忍び込むとベッドに向けて銃を構えて毛布を剥いだ…空だった。「思った通りだ」、呟いた玻留は駆け出す。波留は、修子の寝室に逃げ込む人影を認め、3発撃ち込んだ。
急に電気が付くと、そこには修子が立っていた。「気が済んだ?」波留に問いながら銃を向ける修子。姉に殺された可哀想な弟として無実のまま死んで欲しい。赤ちゃんのためにも…。銃声が鳴り響いた。そこに槙が飛び込んでくる。とどめを刺そうとする修子の銃を奪うと、玻留の傷口に枕を当てて止血しようとする。「このまま死なせて!」とすがる修子に、「しっかりしろ!」と頬を打つ。玻留も生かして、お前も生きるんだと…。修子がふと波留を見ると、玻留がゆっくりと銃を持ち上げて自分の頭に…。「やめて!!」と修子は叫ぶが、銃声が鳴り響いた。
警察や救急隊が駆けつける。意識を取り戻した修子を、絹子が修子を呼びつけるが。「私の犯行を知っている玻留を撃った」「槙は私を止めようとしただけだ…」と。絹子は、奥寺に土下座までして島に戻り、今でも玻留を修子が撃ったことを黙秘する槙に対して、あなたはそれでいいのか、それが波留のためになるのか、と修子を正す。「槙には申し訳ないと思っている」と話す修子。絹子は「迫田が見つかりって、犯人を《玻留》であることを認めたと明かした。
担架にはグッタリとした波留が乗っていた。玻留は銃を自分の頭部に向けとき、修子が飛びつき銃口を逸らしたのだ。修子は銃声で気絶したのだった。「許して」と修子。そんな修子に、玻留は「今度生まれるときも姉さんの弟がいい」と微笑んだ。槙も来ていた。玻留は笑顔で槙の手を握る。槙も波留の手をしっかりと握った。
後に残った槙に、修子は「私のことは忘れてほしい。私は忘れるから…」と告げ、槙の目の前で手錠をかけられた。弟・波留への殺人未遂で…。
数日後。島を離れる槙は南へと旅立った。
――それから一ヶ月後。実況検分のため、手錠をかけた修子が警察と島を訪れた。出迎える理生。修子は日本で、玻留はブラジルで、刑に服すことになったという。修子は遺産をブラジルにいる夫の一族に返却していた。
修子が買い取ったこの島は今でもセツ名義になっていた。理生は修子にお礼を言い、ホテルを再開のために島を出て勉強するつもりだということを話した。
「もう島や槙のことを忘れたんですか?」理生の問いかけに、一度は「忘れた」と答えた修子であったが、「忘れるなんてできない」と答えなおした。高い塀に囲まれても心は自由。心はあの人のところへ飛んで行けるから…。それが“愛”ならば私はあの人を愛している…と。「この空と海がある限り、忘れるなんて出来ない」。
修子が気づくと、そこには槙が立っていた。「俺も忘れるなんてできない」。槙の胸に飛び込む修子に、槙は「愛している」と告げる。そして口づけを交わす…。
滑走路に戻ると絹子が修子の手錠を外した。「帰りは彼が送る」といい、絹子は槙を指差した。槙は、海外で免許を取得して来たのだ。やがて、飛行機が離陸した――美しい空の彼方へ。 《 完 》
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第36話
キャスト
日ノ原修子 / 国分佐智子(こくぶさちこ)28歳。日系ブラジル人の大富豪の夫を亡く・・・
吉岡槙 / 高杉瑞穂(たかすぎみずほ)
28歳。絶壁に囲まれたリゾートランドにあ・・・
水谷理生 / 肘井美佳(ひじいみか)
25歳。吉岡槙の恋人だが、セツには2人の・・・
奥寺麻人 / 黒田アーサー(くろだあーさー)
40歳。祖父から受け継いだ「奥寺商事」を・・・
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