TKOがお笑いの世界に与える影響はきっと少なくはない！

(05/18)

本物が､いつも早く世に登場するとは限らない。

若いのに実力があるとか､若いのにこんなに才能があるとか､そういう周囲からの波を払拭してくれるのが「本物」というものなのだろう。

ことお笑いに関して言えば､松竹芸能所属のコンビ､TKO（てぃーけーおー）は紛れもない本物だ。

彼らは､木本武宏（きもとたけひろ=37）と木下隆行（きのしたたかゆき=36）によるコンビで､苦節18年､今年に入ってようやくメジャーに出てくるようになった。

とは言っても､1990年10月に松竹芸能入社して以来､1990年代の中ごろから関西を中心にライブ､テレビ､ラジオ等で活躍し､当時の若手の中では群を抜いた人気があった。

そのため､東京進出後も大ブレイク間違いなしと言われてきた逸材だったのである。

現在､大人気を呼んでいるドラマ「ROOKIES」の原作者・森田まさのりがヤングジャンプで掲載した伝説的な読み切り「柴犬」はTKOをモデルにしているほどだった。

ところが､最初の東京進出はあえなく失敗。

同期や後輩たちがどんどんメジャーになって､冠番組を持っていくようになっても､なかなかメジャーにはなれなかった。

彼らは焦っただろう。

特に､松竹所属のますだおかだは､年齢こそ上であるがデビューはTKOより遅く､つまり後輩だ。

ますだおかだがM-1グランプリ王者になった翌年の2003年に､木本は父親から「今年1年でますだおかだを追い抜けなければ､この世界をやめろ」と言われていたほどだ。

だが､今､彼らの芸を見ていると､その成熟された技術に驚きを隠せない。

主にコントを行っているのだが､木下がとぼけた感じでボケまくる独特なコントはまさに職人芸。

木下が客席に好きな女の子を見つけて､ボケなのに「いい格好」をしようとする漫才テイストのコントや､木下が木本に合わせて知ったかぶりをする歌ネタなど､基本を忠実に､しかし､その間合いは絶妙。

むしろ一般人よりも､芸人や芸能人の間でのファンが非常に多いのも特徴的だ。

ようやく時代が彼らに追いついたのか､彼らが時代をリードするまでに､あえて笑いの神が苦難の時代を課したのか。

その答えは､今後の彼らの活躍によって誰もが知ることになるだろう。（古田鉄寿）