ガッツ力走で巨人が最速70勝

巨人は2日、横浜相手に終盤驚異的な粘りを見せて逆転サヨナラ勝ち。両リーグ70勝一番乗りを果たした。

8、9回の3本塁打で5-5、同点に追いつくと最後はアレックス･ラミレス外野手の二塁打で、一塁走者の小笠原道大内野手が激走して歓喜のホームを陥れた。
24年ぶりに開催した福井での試合をものにして、地方球場は昨季から10連勝。

優勝へのマジックを一気に2つ減らして「21」とした。

結末は劇的だった。ラミレスの打球は三遊間を抜けたが左翼手がいない。

中堅寄りに守っていた左翼･内藤が慌てて戻るのを見て、左内転筋を痛めていた一塁走者の小笠原は一気に加速した。

中継も乱れる間に、激走で一気に本塁を陥れた小笠原は"Ｖ"の字のように両手を掲げた。

２点差をはね返して今季７度目のサヨナラ勝ち。お立ち台でヒーロー･ラミレスの声も上ずった。

「われわれはジャイアンツ。だからあきらめない。自分のサヨナラ打よりもガッツ（小笠原）の激走を褒めてほしい」

2回の守備で"凡ミス"を犯した。細山田の平凡な左飛を落球した。3失点につながり、先発の東野の足を引っ張った。

連続試合マルチ安打を記録した過去7試合で打率．633だった打撃も8回の4打席目まで無安打。

ベンチは敗色ムードだったが8回に谷、阿部が連弾。土壇場の9回は坂本の2ランで追いつくと、最後の最後で主砲の仕事を果たした。

汚名返上の一打を

「エラーは仕方ない。気持ちを切り替えて取り返そうと思っていたよ」

と振り返った。

小笠原の執念も光った。初回、5、7回の得点機でいずれも凡退。7回は同じ年の三浦に5球連続で内角を攻められ、最後はフォークで空振り三振に倒れた。

9回の打席ではカウント2-2から右ひざ付近に自打球を当てたが、ベンチから出てきたトレーナーを目で制した。

粘って四球を選ぶとラミレスの一打で必死の走塁。8月中旬に痛めた左内転筋は万全ではないが足で勝利に貢献して「みんなで何とかしようとした結果」と言葉に力を込めた。

これでチームは今季地方球場で8戦全勝。

原監督は

「実力もさることながら、それ以上の何かが作用している」

と神懸かった勝利に目を丸くした。

大きな1勝で両リーグ最速で70勝に到達し、優勝マジックは一気に21。勢いに乗ったチームはリーグ3連覇へ突き進む。

(2009年9月3日)

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